大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)1214号 判決

被告人 宮下力雄

〔抄 録〕

所論は、本件昭和三二年五月一日附公訴状添附の窃盗犯罪一覧表29には、犯罪日時昭和三一・八・二七、場所長岡市呉服町北日本石油、被害者鷲尾英一、被害物件現金六、三〇〇円、麻雀牌一組四、〇〇〇円と記載され、この事実につき審判を請求しているのに、原判決は判示第一の別紙一記載の二四に、犯罪日時、場所、被害物件は前記と同一内容であるが被害者として竹沢喜作と判示してあるのは明らかに審判の請求を受けた事実につき判決をしていない刑事訴訟法第三七八条第三号の違法がある旨主張するものであるところ、本件記録及び証拠を精査し、原判決を検討すれば、所論の公訴事実と原判決認定の罪となるべき事実とは被害者が鷲尾英一と竹沢喜作との相違があるだけでその他は同一内容であることが認められ、鷲尾英一は北日本石油販売株式会社の常務取締役で、同人の提出した被害届には被害現金六、三〇〇円の所有者が竹沢喜作であることが記載され、同会社々員竹沢喜作提出の追加被害届には、被害の現金六、三〇〇円及び麻雀牌一組価格四、〇〇〇円相当が同人の所有にかかるものであることの記載があることが明らかである。従つて原審はこれらの証拠に基いて被害者を判示ガソリンスタンドを管理する責任者である常務取締役鷲尾英一とするよりもむしろ被害物件の所有者である社員竹沢喜作とすることを相当として、判示のように竹沢喜作に変更したものであることが認められ、かかる原審の認定は公訴事実の同一性を害しないばかりでなく、訴因の変更をも必要としない、むしろ妥当な措置というべく、原判決には所論のような審判の請求を受けない事件につき判決をなし、又は審判の請求を受けた事件につき判決をしていない違法の廉は少しもないので論旨は理由がない。

(工藤 草間 渡辺好)

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